【TUBAME】カリタウェーブ・ステンレスWDS-155レビュー!珈琲を「良い道具」で淹れる高揚感。

カリタウェーブをご存知だろうか、以前から気にはなっていたのだがついに思い切って購入した、「どうせ買うならいいモノを」の精神で日本が誇る金属加工の町、新潟県燕市で作られたTSUBAMEシリーズのステンレスを選んだ、こいつはいいものに宿る雰囲気がある。

今回はこのドリッパーの最高ポイントである燕シリーズの特徴と見た目、味についてレビューしていく。

燕シリーズとは

そもそもTUBAMEシリーズは「& Kalita」というカリタと日本の伝統工芸を組み合わせた美しい製品を作り出すプロダクトの1つ

ステンレスと銅の二種類がある。

他にも「NARUMI & Kalita」(名古屋の鳴海陶器のドリッパー)

「KIRI & Kalita」(新潟県の加茂の桐でできたコーヒーミル)

「HASAMI &Kalita」(長崎県の波佐見町の焼き物で作ったドリッパー)がある。

そしてこれが「TUBAME & Kalita」

新潟県燕市で完結して作られた美しいコーヒードリッパーだ。

燕市の金属加工の歴史について

燕市の金属加工は「和釘」から
ー400年前の農家の副業から始まるー

新潟県燕市が金属加工の町になったのは江戸時代のことだという。

越後平野の中心地に位置するこの町ではかつて豊かな稲作を営んでいた。

しかし度重なる信濃川の氾濫によって人々は困窮し、他の産業に目を向ける。

そこで取り入れたのが「和釘」江戸から和釘職人を呼び寄せ、金物作りが始まったのだ。

1700年代には鎚起銅器(1枚の銅板から生み出されるもはや芸術品の銅製器)やキセル作りが伝えられる。燕市のすぐ近くにある間瀬銅山から良質な銅が採れたことも発展を後押しした。同じ頃にヤスリも大量生産に成功、ヤスリは年間4千万本、キセルは日産6万本を数えたとの記録が残っている。

ここからの歴史をかいつまんでみよう

和釘、キセル

  ↓

洋釘、紙タバコになる

  ↓

商品が売れなくなる…

  ↓

しかし第一次世界大戦中、外国からカトラリーの供給が日本に求められ、燕市が返り咲く。

  ↓

第二次世界大戦、以前より欧米での需要が増える、日本の食生活も欧米化し洋食器需要が高まる。

  ↓

金属加工及び洋食器製造が順調に!

  ↓

90年代に中国などに追いつかれ一転される…

  ↓

中国の超大量生産の低コスト品には敵わず、伝統技術そのものを武器に職人の腕「磨きの技術」を商品に

  ↓

燕市の金属加工業者はまとまってブランディング、マーケティングを行い「燕市の磨き屋集団」として売り込む。

  ↓

AppleのiPodの裏面の磨きを持ちかけられ、世界に躍り出る。

  ↓

この技術と知名度を活かして今の金属加工でおなじみの「燕市」がある。

というわけだ。

※正確には紆余曲折あります。

『made in TUBAME』の資格とは

しかし、やれ「スノーピーク」やら「珈琲考具」などたくさんのブランドが「made in TUBAME」を名乗っているが明確な基準があるのだろうか?

ある

燕市と隣接した市町村で成形・組み立て・表面加工が行われていること。製品外観面積の50%以上が燕市内でつくられていること。これらの条件を満たしていないと、ブランド認可はできない。

『Made in TSUBAME』とは、燕のクラフトマンシップが輝く製品のみに与えられる称号であり、同時にこの地でものづくりに携わる職人たちの技と誇りの象徴として息づいている。技術の腕を商品にした以上、その出来栄えに命をかけるのも納得だ。

ドリッパーの外観レビュー

金属加工の燕市についてあらかた分かった所で本題のこのドリッパーの紹介といこうか。

開けた瞬間から「お、出来が良いなこれ」という長く使えるモノ特有の雰囲気を感じる。

このドリッパーは燕市内の「株式会社田辺金具」が請け負っており、普段はトングなどを主軸に販売しているようだ。OEMもやっている会社で、ここは金型にも強く、繊細なKalitaの彫刻まで綺麗にプレスし表現されていた。

製品は全体的に歪みもなく頑丈でしっかりしている。ハンドルのワイヤーも綺麗な曲線を描いていて使いやすそう。

そして何よりピカピカである。

これが世界に誇る研磨技術か!

ちなみにこの研磨の工程は手作業で行われているのだ。

「プレス時にできた傷や光沢のムラを見分けながら、バフと呼ばれる研磨用の布に製品を押し当て、手早く研磨していく。これぞ燕の職人芸だ」

&Kalita -公式HPより

なるほどね、渾身の一個という訳か。

神は細部に宿るとはよく言ったものだがこのドリッパーから節々とそれを感じる。

味について

まあ見た目がいいのは分かったけど味はどうなのよって話。

実はカリタウェーブはドリッパーとしては独特な構造と言ってもいい。

小さな穴3つしか開いてないし、リブもないからどうなのよと思っていたがカリタウェーブのミソはフィルターと平らな底面だ。

フィルター

少々割高なこの20個のヒダがあるフィルターは雑味やアクを吸収する。そしてドリッパーとの設置面積を減らすため、穴が三つしかなくてもスピーディーにお湯を落とすのだ。

底面(ウェーブゾーンというらしい)

そしてこの底面、これが味を安定させる。

雑にお湯を落としても一旦受け止めて周りに馴染ませ、均一に抽出する。

まるでウケを狙った自己紹介が滑っても何も無かったかのように流してくれる次の番の女子くらいありがたい。(意味不明)

美味しい淹れ方

個人的な淹れ方のコツとしては最初は丁寧にドリップして、後半は攪拌するように全体的に油量を増やしある程度均一に混ざったらドリッパーにお湯を残したまま空いたコップに移して終了にしている。

そうする事で前半で旨味と甘味を十分に抽出し、後半に油量とバランスをとっている。

このドリッパーを一言で表すなら

良く言えば「安定」

悪く言えば「型にハマる」

と言えるかもしれない、焙煎したての良い豆であれば気を使わずにおいしく淹れられる。

個性的な豆を集中して狙った味に淹れる「勝負の一杯」ではないのならこれでのんびりと淹れたいものだ。

来客の時は幸せいっぱいに豆が膨らむビジュアルも最高だし、なんか本格的に見えるし、安定して美味しいからおすすめ。

そんなことを思っていたらKalitaのハンドドリップのコンセプトが目に入った

「ちょっといい時間、ちょうどいい時間」

大切な人と会話しながら淹れるコーヒーならこれで決まりだ。

おわり

今日はカリタウェーブ「made in TUBAME」

を紹介してみた。

ドリッパー1つ紹介するまでに歴史まで振り返ってしまったがこの道具から、いや燕市の存在から学ぶ事は非常に多い。 

たくさんの苦難を乗り越え、紆余曲折ありながらも金属加工の第一線を走り続ける燕市。

金属のように硬いモノづくりへの意志を時代に合わせて器用で柔軟に曲げ、腕を磨き、最高のモノを世に送り出す。

やっぱり日本のモノづくりは捨てたものじゃない。我々は不死鳥のように蘇るその過程からこそ学べる事がたくさんあるのではないかと思うのであった。(カッコつけたら疲れた、、コーヒー淹れよ)

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