【完全保存版】コーヒーの抽出器具は何を選んだらいい!?8個のドリッパーの選び方を完全紹介。
コーヒーを淹れる方法はたくさんある。ドリッパーだけでもカリタだのメリタだの穴の数がどうだの、道具はネルドリップだのサイフォンだのと何がどう違うのかさっぱりわからない。今日は、世の中のコーヒーの淹れ方を整理し、自分に合った道具を見つけたいと思う!(我ながら大きく出たな笑)
※一般的な透過式ドリッパーの解説は後半にあります。
浸漬式か透過式の2つ
前述の通りコーヒーの抽出道具はたくさんあるが、抽出方法は実は大きく分けて2種類しかない。
浸漬式はコーヒー粉と水を一度に混ぜるタイプ、(お茶などは基本こっち)
透過式はコーヒー粉で層を作り上から水を注ぐタイプだ。(いわゆるドリップコーヒー)
浸漬式の代表的な淹れ方はフレンチプレス、サイフォン、ジェズヴェ(トルココーヒー)、マキネッタなど
透過式の代表的な淹れ方はペーパーフィルター、ネルドリップ、金属フィルター、そしてエスプレッソなど
※浸漬式と透過式を組み合わせたような抽出方法も一応存在してはいる。
どう違うのか?
実はフレンチプレスはコーヒーの為の道具だが日本人は紅茶に使うイメージが強い。
そう、浸漬式のコーヒーは「長く置くと雑味が出る」からまずく感じやすいため日本人には合わなかったと考えられる。
透過式はどうだろうか、これは一般的なドリップなどを指すが「先においしい成分が出て、後半に雑味が出る」とよく聞くのではないだろうか?
そもそも雑味とは何か
コーヒードリップが終わった後にフィルターに残ったアクのようなものを舐めてみるとわかる。苦味や渋味を強く感じる。このアクの泡はお湯に溶け出しにくい石鹸カスのようになかなか消えない親油性が高い成分だ。これがまずい。それで人数分の抽出が終わったらすぐにドリッパーを外すのが一般的だ。
もちろんコーヒー抽出の後半の水に溶け出しにくい油分の成分全てが雑味というわけではないがこの石鹸カスのように親油性の高いアクがまずく感じる要因として大きい。
その雑味を出さない為にはどちらにせよ「抽出の止めるタイミング」が大切というわけ。
つまり浸漬式は「時間をおき過ぎる」と、透過式は「お湯の量によって」雑味が増えていく。そして雑味の泡をなるべくコーヒー液に混ぜないことだ。
【浸漬式】の道具たち
ではここから各道具をざっと見ていこう!
フレンチプレス
フランスで開発されヨーロッパで普及しているという道具。最も原始的ともいえる。
○メリット
シンプルすぎて味のブレが少ないのと油分も抽出されるためどっしりした味わいが特徴。良くも悪くも豆の個性全てを味わえるので、スペシャリティーコーヒーなどにおすすめ。
×デメリット
微粉が口に残るのと雑味も出やすい。
サイフォン
19世紀のヨーロッパで発明されたものであり、日本では1925年(大正14年)に初めて島屋商会(現:珈琲サイフオン)から「コーヒーサイフォン」として販売された。(Wikipediaより)
○メリット
とにかく見た目がいい。化学実験のような演出がオシャレ。高温で短時間の抽出によって香り高いコーヒーができるともいわれる。
×デメリット
とにかくメンテナンスがめんどくさい。ガラスのパーツを洗うにも割れ物だから気を使うしアルコールバーナーの燃料も必要。
マキネッタ
沸騰したお湯の蒸気圧で抽出する直火の抽出方。イタリアの家庭に必ず一台はあるという嫁入り道具だという、使い込まれていればいるほどいいらしい。内部がコーヒーの油分と茶ばみでコーティングされているのが良い為、洗剤などは使わない。ちなみにこれで抽出したのはモカと呼ばれ、エスプレッソではない。
○メリット
コクがあり、濃厚なコーヒー液を味わえる。あとこれが部屋にある男はモテる。
×デメリット
火を止めるタイミングなどを音で判断するなど、コツがいるため初心者には向かない。カッコつけて買ってもいつも使わないと内部のコーヒー油分のコーティングが酸化し不快な臭いを発しかねないし不潔。部屋にあるだけではやっぱモテない。
【透過式】の道具
ではここからは透過式の道具について紹介していく。正直僕は透過式が大好きである、味をコントロールしやすくコーヒーを楽しむならこっちだと思うからだ。
序盤で考えた通り透過式は「お湯の量によって」雑味が増えていく。しかし同じお湯の量でもコーヒー粉とお湯の滞留時間(抽出時間)が長いと浸漬式にみられた「時間をおき過ぎる」事で雑味が出るという影響も絡んでくる。雑味の泡も溶け出しやすい。
つまり何が言いたいか、それは「お湯の抜けが良ければ良いほど透過式らしく、お湯の抜けが悪ければ悪いほど浸漬式のような味になる」という事だ。
第15代ワールド・バリスタ・チャンピオンの井崎英典先生も「お湯の流速が濃度感を決める」と述べている。
ドリッパーの形は大きく3つに分けられる
「台形」「円錐」「ウェーブ」だ
・台形
カリタやメリタ
・円錐
ネル、コーヒーバネット、ハリオ、コーノ
・ウェーブ
カリタ
そこに「穴の数」「直径」「溝」が加わって流速に影響する。
流速=濃度感であるため、上から流速が早い順にドリッパーを紹介していこう!
ハリオV60
「穴・大きいのがひとつ」「リブ長めスパイラル」
ペーパードリップでネルドリップの味わいを再現したいというコンセプトで設計されたという。定番中の定番、金属製などもある。
1、2湯目で抽出されたコーヒーの味全てを3湯目以降で薄めていくようなイメージだ。
○メリット
スパイラルのリブが流速のコントロールをしやすい為、淹れ手によって濃度が調整できる。フィルターも手に入りやすい。
×デメリット
条件を合わせないと味のブレが出やすい。
コーノ
「穴・大きめひとつ」「リブ下部に短め」
円錐フィルターの元祖、V60よりもリブが短い為お湯の抜けが比較的遅くなる、V60より濃度感強め。
○メリット
こちらも流速のコントロールがしやすい為、V60と同じような考え方で淹れられる。後述するがこだわり派は大いに楽しめる。
×デメリット
楽しめる人にとってはデメリットとというほどでもないだろう。独特の点滴法で淹れるためとにかく細く長くお湯を出す。そのためにある程度高価なドリップポットが必要だ。下部三分の一にリブがあるため水位が下がると雑味も流れてしまう。そのため前半で旨味を抽出したら、水位を下げないように常にお湯を一杯にしておくなど淹れ方にコツが必要。このスキルは他のドリッパーにも活かせる為練習するのにはいいかもしれない。
カリタ ウェーブ
「穴・円を描くように3つ」「リブはないがフィルターがそれを果たす」
比較的新しいウェーブシリーズ、ステンレス製が美しく扱いやすい(ガラス製もオシャレ)底面が平らになっておりお湯と粉がよく接触するようになっているがフィルターにスカートのような20個のひだがありそこに粉が溜まり壁を作るので、均一に抽出する事が可能。
○メリット
見た目が美しい。初心者でも安定した味を引き出す事ができる。インスタ映えする(知らんけど)
×デメリット
フィルターがやや割高。
カリタ
「穴・直列3つ」「リブ長め」
企業名はドイツ語の「Kaffee(コーヒー)」と「Flter(フィルター)」の組み合わせた造語によってつけられた、メリタのパロディなんじゃねえかと馬鹿にするのは早い。
「の」の字にドリップすることを最初に提唱したのはカリタだという。AS樹脂製も陶器製もある、最も一般的と言っていい。
○メリット
3つ穴と長めのリブで理想的な抽出速度を実現している。V60より頭使いたくないならこちらをおすすめする、全てのスタンダード、基準と言ってもいいだろう。
×デメリット
ちょうどいいと捉えるか、中途半端と捉えるかは人それぞれ。ドリッパーの側面が斜めの為、透過式にしてはどうしてもコーヒードームが崩れやすく、雑味が流れやすい。
メリタ
「穴・1つ」「リブ長い」
ドイツ生まれの世界初のペーパードリップシステム。それまでは紅茶のように浸漬式で抽出してから茶漉しで濾して飲まれていた微粉多めのコーヒーをメリタ夫人は息子のノートの紙と穴を開けた缶から現在に至るコーヒードリッパーを世知らしめる事になる。まさにコーヒー革命を起こした主婦なのである。
○メリット
蒸らしの後、抽出したい量のお湯を一気に注ぎ後は出来上がりを待つだけ。抽出穴が1つしかない為、流速が遅い。コクがある濃度感高めのコーヒーができる。誰でも安定して淹れられる。
×デメリット
ゆっくり淹れてしまうと最も浸漬式に近い味になる、濃度感をコントロールしている感は少なく、淹れる楽しみというよりもお湯が落ちるのを待つ事務的な作業ともいえる。前述したが世界発のドリッパーゆえ浸漬式にフィルターをかませただけなのだ。
結局、どれを選べば良い?
ここまで代表的なドリッパーをざっと紹介してきた、ここからは何を選べば良いか?という事だが、濃度感を自分の好みにコントロールして楽しみたい人は流速が早いハリオやコーノを。浸漬式のようなどっしりしたコクと濃度感を安定して淹れたい人は流速が遅いメリタの1つ穴にすれば良いのだ。
※言わずもがなハリオやコーノはゆっくりお湯を落とす事で濃度感を濃くコントロールすることもできる。
僕がおすすめするのは気分によって変えること。それが一番楽しい、朝はスッキリ淹れるのが得意なハリオV60で、おやつは甘いスイーツだから濃度感高めなメリタ式で、というように臨機応変に道具を変えられるようになったら最高だとおもう。まずは基準になる味を探してそこからドリッパーを増やしていくのも楽しいだろう。
総括
今日は数々の抽出道具を整理してみた。
大きく分けて浸漬式と透過式があり、浸漬式は時間をおき過ぎると雑味が出る。
透過式はお湯の量と抜けが濃度感に繋がる。という事が分かった。
しかし濃度感は他からも影響を受ける。「お湯の温度」「粒度」「焙煎度合い」だ、それはまた別の記事で紹介しよう。
それでは今の気分に合ったドリッパーで一杯頂こうか。
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