【高いコーヒーミル買う必要ある?】おすすめミルを3つ紹介、値段の差は何が違う?

コーヒーにこだわり始めたら粉にせず豆で買ってきてお家で挽くという人は多いだろう。そのためコーヒーミルの購入を考えているかもしれない。しかしコーヒーミルはピンキリで、DAISOで500円のものからブランドモノで4万円を超えるものまで実に様々だ。今日は
○高いコーヒーミルは何がどう違うのか
○何式のミルがいいのか
○安いミルで美味いコーヒーを飲む方法
に至るまで解説していきたいと思う!
高いコーヒーミルは何がどう違うのか
【値段の差は粒度分布の差】
粒度分布とは、測定対象となるサンプル粒子群の中に、「どのような大きさ(粒子径)の粒子が、どのような割合(全体を100%とする相対粒子量)で含まれているか」を示す指標(表現手段)です。
測定器のメーカー、島津製作所HPより
ミルとは言うまでもなくコーヒー豆を粉にする道具だが、その粉の粒度を揃えて挽く必要がある。しかしどうしてもミルの刃の形状、材質、方法などによって粒度には差が生まれてしまう。その差を表すのが粒度分布というわけだ。
つまり高いミルは粒度分布が狭く
○望んだ粒度が「高い割合」で含まれる
安いミルは粒度分布が広く
望んだ粒度が「低い割合」で含まれる
といえる。※どんな高級ミルでも微粉は含まれる。
なぜ粒度が揃っていた方がいいのか
粒度が揃っていればいるほど味がクリアに、揃っていなければえぐみや雑味が出やすくなるがそれはなぜなのか。
例えば中細挽きを狙って挽いているのに大きい粒度が混じっていると「未抽出」を
逆に細かい粒度が混ざっていると「過抽出」を起こしやすい。
旦部幸博先生の「コーヒーの化学」からも一部引用したい。
「粉砕されたコーヒー粉の~表面には油脂分をベースにしたどろどろがあり、そこに色や香味成分の多くが溶け込んでいます。実際の抽出時には、この油脂分自体の一部が粉表面から機械的に剥がれたり(=剥離)、温度が上がって油脂の流動性が増してお湯に融け出す(=融出)ことで液相側に移行していきます。
剥離や融出では、通常の分配とは違って親水性の成分も疎水性の成分もまとめて抽出液の中に入ってくるため、抽出効率が上がって濃度が高くなる反面、苦渋味などの疎水性の「まずい味」が増えすぎてコーヒーの味を損ねる結果につながりかねません。挽く時に粉の大きさがばらついて微粉の割合が増えた時にも同様の結果をもたらします。
旦部幸博「コーヒーの化学」
粒度分布の広い安いミルは微粉も多く含まれる為「過抽出」が起きやすい。以前の記事でも触れたが浸漬式で時間を置き過ぎたり、かき混ぜたりするのと同じ理由が起こり、雑味を引き出してしまうというわけだ。
コーヒーショップと自宅の差なんて実はこのミルの差くらいだ
何式のミルがいいのか
【大きく分けて2種類】
さて、粒度分布が狭いミルが雑味を生みにくい良いミルなのは分かったが、じゃあ何を選べば良いのか。
ミルは大きく分けて2種類に分けられる
【プロペラ式】か【臼式】だ
プロペラ式
・プロペラ式
臼式
・コニカル式
・フラットディスク式
・ロールグラインダー式(業務用)
「いやもっとたくさん種類あったぞ」という方もいるかもしれない。ネットではフラットディスク式がカッター式と紹介されている事もあるが、基本的にコーヒーを粉にするためには「打ち砕く」か「すり潰す」しかない。そのため2種類だ。そしてフラットディスク式もすり潰しているため正確には臼式だ。
打ち砕くのはプロペラ式しかない、もはやプロペラ式は掃除が楽な事と安い事以外おすすめする理由はない。
今回は潔く【臼式】のみ紹介することにしよう。
残念ながら僕が持っている臼式ミルは、クラシックな金属刃コニカル手動と、セラミック刃のコニカル手動と、金属刃ディスクカッターの電動の3つしかない。(自分が持ってないミルは推せないっしょ…
という訳で沢山の商品を視野に入れたい方は価格ドットコムとか見てください(適当)
コニカル式(コーン式)
コーンとはあの三角コーンのコーンだ、円錐の臼を回転させてすり潰す方式で1番普及している形式かもしれない。刃の素材も金属やセラミックなどがあり、こちらもピンキリだ。では早速僕の持っている連中たちを紹介しよう。
カリタ 手挽きミル




コニカル式、金属刃
○メリット
可愛い。
×デメリット
挽き目調整ネジが難しい。
水洗いできない。
挽き目が揃いにくい。
この見た目である。ミルといえばこの感じ、クラシックで木製の本体がいい味を出している。顔で選ぶならこいつだ、超タイプ。
実はこの手のミル、前述したように微分がどうとか挽き目がどうとかうるさいこといえば誰も使わないはずだが依然人気がある。もちろん可愛いからだろうが決してそれだけではない。「コーヒーを丁寧に淹れる」という動作含めて楽しむとすれば、「道具」として特別秀でていなくても幸福を感じる「時間」を作る事ができるのかもしれない。
ポーレックス コーヒーミル

セラミック刃、コニカル式
○メリット
割と挽き目が揃っている
水で丸洗いできる
持ち運びできる
エスプレッソ用に細く挽ける
×デメリット
挽くのが大変(力がいる)
僕が1番初めに買ったミルだ。粗挽きから細挽きまでなんでもこなし、割と挽き目も揃う(コニカル式のため粗挽きでは差が出る)がなんせ力がいる。浅煎りのスプレモなんて挽こうものなら一苦労だ。1人分の深煎りしか飲まないです朝はゆとりがあります。みたいな人にはおすすめだ。という紹介では魅力半減だ
こいつは本当にいい最高だアウトドアにもうってつけである
そもそもこの手のアウトドアミル(Zassenhausハバナ式とでも言おうか)をセラミック刃とステンレスにブラッシュアップし、精度を上げ、耐久性、使い勝手共に完璧にまで押し上げたのはポーレックスだろう。今や中国製だったり某アウトドアブランドがこぞって出している形だがこいつは格が違う。セラミック刃は摩耗するし、僕が買った5年前に比べてネジもハンドルの軸の頭もリニューアルしている、しかもHPから部品が取り寄せられる。つまり長い目で見ればパチモンより安いのだ。






カリタ ナイスカットG



金属刃、ディスクカッター式
○メリット
挽き目が揃う
沢山の豆を楽に早く挽ける
×デメリット
うるさい
やや静電気でくっつくかな?
さて、やけにならないと買えない値段になってきた。しかしもうこいつが無いと僕はダメだ。早いし、旨いし、メンテもしやすい。
間違いなく買ってよかったし、また買う。
こいつの後継としてセラミック刃のディスクカッター式でネクストGが出ており、そっちは静電気除去機能や粉受けが飛び散りにくいなどのメリットもあるみたいだ。ただ僕はこいつが壊れるまで付き合うつもりだ。
挽くハードルは低い方がいい
3つほどしか紹介できなかったが、コーヒーを淹れる頻度によっても選び方は変わる。
毎日、数人で飲むのならそれはもう確実に電動にするべきだ。一人で週に一度しか淹れないなら手動のクラシックタイプでもいいだろう。めんどくさいともはや使わなくなるから注意である。
安いミルで美味しいコーヒーを飲む方法
「結局電動のディスクカッター式がいいのは分かったけど、体感でどれほど違うのか分からないと買えねえよ」という方もいるだろう、ごもっともである。
いい方法がある、前述した通り微粉が「過抽出」を引き起こし雑味を生む。そのためふるいにかけて微粉を落としてしまえばいいのだ、これで粒度が揃う。
そのためのコーヒー用ふるいも存在している。実験用ふるいを流用してもいいだろう。
ちなみにふるいの目の細かさをメッシュといいミクロン(μ)に換算する事ができる。
アメリカ式メッシュ番号 | 粒子の大きさミクロン |
140 | 107 |
150 | 104 |
160 | 96 |
100μ以下の微粉のことを英語で「Fine」と呼ぶ、150メッシュ→104ミクロンだから、150メッシュの茶漉しやふるいで「Fine」を取り除くだけでもいいだろう。
どんな味になるのか、実際に試してみると確かに味がクリアでコーヒー液の透明度も増す。まっすぐに豆の味を楽しむことができるのだ。この違いに感銘を受けたなら、そのふるいを使って微粉を落とし続けるか、いっそ高いミルを買ってみるのもいいだろう。体感を購入理由にするのが1番心と体と財布にいい。
さて今日は主に高価なコーヒーミルの何がいいのかについて考えてきた。
高価なコーヒーミルは粒度分布が狭く、雑味を生む微粉が少ない。
安いミルでもふるいにかければおいしくなる。

という事が分かった、ここまで来て本末転倒のことを言うが、ふるいにかけて微粉を徹底的に落としたコーヒーは確かにクリアでまっすぐだ。しかし悪くいえば単調で複雑性や渋みが無いとも言える。それをおいしいと思えるかどうか。もしかしたら人生と同じで、ある程度の雑味や渋さが必要なのかも知れない。だからこそクラシックな手動のミルが未だに愛されているのだろう。そう、コーヒーの雑味は人生に必要な苦さなのかもしれない。(やかましいわ)
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